About RESUME ~古き良き緻密な世界~ #9

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いつも当サイトをご覧いただき、ありがとうございます。

奈良でヴィンテージウォッチを扱う【RESUME】です。

 

「クォーツ時計って、機械式と違ってオーバーホールしなくてもいいんですよね?」

10年前に電池が切れて止まっているんだけど、電池交換すれば動くよね?」

 

最近、ヴィンテージウォッチをご案内していると、お客様からこういったご質問を多くいただくようになりました。

 確かに、電池で動くクォーツ時計は一般的に「メンテナンスフリー」のイメージが強いかもしれません。

針が止まっても、電池を交換すればまた動く——そんな印象をお持ちの方も多いでしょう。

 しかし実際には、クォーツも機械式同様に定期的なメンテナンスが欠かせません。

たくさんの思い出が詰まった大切なクォーツ時計を、これからも長く愛用したいとお考えの方には、ぜひ知っていただきたいポイントがあります。

 そこで今回の「古き良き緻密な世界」第9回では、機械式ではなくクォーツ時計にフォーカスし、「クォーツ時計のオーバーホール」について、その必要性やタイミングをお話ししたいと思います。

 

 

1. クォーツにも動く部品がある

 「クォーツ」と聞くと、電池で動く“電子機器”のようなイメージを持たれるかもしれません。

けれど実際には、クォーツ時計の多くには、機械式と同様に歯車や軸受けなど、オイルで潤滑された可動部品が存在しています。

 特に197080年代に製造されたクォーツモデルは、内部構造が複雑で、ある意味機械式と電子式のハイブリッドとも言える設計になっています。

 そのため、内部のオイルは経年によって劣化し、汚れや摩耗が進めば、部品の破損や回路へのダメージにつながる恐れもあります。

また、汚れが蓄積されることで、電子回路に過剰な電流が流れ、電池の持ちが通常よりも短くなることもあるのです。

 

以下のような症状がある場合、オーバーホールを検討するタイミングかもしれません

 電池を入れても動かない

 秒針の動きがカクカクする/引っかかるように動く

 以前よりも電池の持ちが短い

 異音やモーター音が大きくなった

 長期間放置していた

 

【電池切れの状態で放置してしまうと、電池が破裂し液漏れによる故障に…】

 

ヴィンテージ、現行モデルを問わず、電池切れのまま長期間放置すると、電池の液漏れにより、基板やムーブメントが深刻なダメージを受けてしまうリスクがあります。

また、粗悪電池を使用した場合は、電池がパンクしやすいため、電池選びも重要となります。

 そのため、しばらく使用しない場合でも、電池を外して保管すること、または定期的に内部のチェックを行うことをおすすめします。

 

2. オーバーホールの内容とタイミング

 一般的なクォーツ時計のオーバーホールでは、以下のような作業が行われます。

 ムーブメントの分解と洗浄

 必要箇所への注油

 劣化部品の交換

 電池の交換

 精度調整と動作確認

 おすすめの目安としては、57年に一度を目安に、点検・整備が理想的です。

 残念ながら、クォーツムーブメントの中にはメーカーでの修理対応がすでに終了しているものも多く存在します。

また、ムーブメント自体の生産も終了している場合が多く、部品の確保が難しいのが現状です。

 特に電子回路の不具合については、修理不可であるケースも少なくありません。

 だからこそ、今あるオリジナルのムーブメントを壊れる前に整備することが、結果的に時計を長持ちさせるための一番の方法だと言えるのです。

 

3. 最後に

 197080年代のクォーツ時計には、機械式同様に当時ならではの素材・設計・思想が息づいています。

現代の時計にはない存在感やディテールが詰まった、魅力的なモデルも数多く存在します。

 そんなヴィンテージクォーツを、末永くご愛用いただくためにも、ぜひ一度、オーバーホールという選択肢を検討してみてください。

 

すべては、お客様に安心してヴィンテージウォッチをご使用いただくために——。

 当店にて時計をご購入いただく際、ご不明な点や気になる点がございましたら、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。

できる限りのご対応・ご回答をさせていただきます。

 それでは、今後とも【RESUME】をどうぞよろしくお願い申し上げます。

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