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奈良でヴィンテージウォッチを扱う【RESUME】です。
当店で行っているオーバーホールの作業内容などを紹介する「~古き良き緻密な世界~」。
今回は、お客様にご購入いただきました1969年製の「45キングセイコー スーペリアクロノメーター」の納品前メンテナンスについてご紹介いたします。
45キングセイコーは、セイコーの中でも高精度を追求して製造された手巻き式の名機です。
その中でも「スーペリアクロノメーター」は、当時のキングセイコーの中でも特に高い精度基準を意識して作られたモデルであり、現在でもヴィンテージセイコーの中で高い人気を誇る一本です。
しかし、どれほど優れた時計であっても、製造から50年以上が経過しているヴィンテージウォッチである以上、内部の状態を確認し、必要な整備を行うことが欠かせません。
外観がきれいに見える個体であっても、機械内部では油切れや汚れ、部品の摩耗、過去の使用による影響が見られることがあります。
そのためRESUMEでは、ご購入いただいた時計をそのままお渡しするのではなく、納品前にしっかりとオーバーホールを行い、安心してお使いいただける状態へ整えてからお渡ししております。
今回の45キングセイコーも、分解点検を行ったところ、複数の箇所に整備が必要な状態が見られました。
まず、ムーブメントを分解し、各部品の状態を確認していきます。
■パーツの分解、洗浄
【パーツをすべて分解、洗浄し、パーツチェックを行います】
機械内部には古い油や汚れが残っており、歯車や軸まわりにも使用による影響が確認されました。
時計の精度や安定した動作に関わる部分のため、こうした汚れや油切れをそのままにしておくと、部品の摩耗を進めてしまう原因にもなります。
そのため、各部品を分解したうえで洗浄を行い、状態を確認しながら必要な部品の交換と調整を進めていきます。
■パーツ交換
今回は、分解洗浄に加えて、3番車、中間車、アンクル、ゼンマイの交換を行いました。
3番車や中間車は、動力を伝える輪列部分に関わる重要な部品です。
【長年の使用により3番車が摩耗し、鉄粉が付着しています】
歯車の状態が悪いまま使用を続けると、動力の伝達が不安定になり、精度や持続時間にも影響が出てしまいます。
また、アンクルはガンギ車とテンプの動きをつなぐ、脱進機まわりの非常に重要な部品です。
機械式時計の心臓部とも言える部分に関わるため、わずかな摩耗や不具合であっても、動作の安定性に大きく影響します。
今回は、状態を確認したうえで交換が必要と判断し、部品取り用のムーブメントから適合する部品を用意して組み込みを行いました。
また、ゼンマイも交換しています。

【ゼンマイも長年の使用により途中で切れてしまっています】
ゼンマイは時計を動かすための動力源となる部品で、長年使用されていると、巻き上げ時の感触やトルクの安定性に影響が出ることがあります。
新しいゼンマイへ交換することで、時計にしっかりと動力が伝わるよう整えています。
さらに今回は、ヒゲゼンマイの修正と片振り調整も行いました。
ヒゲゼンマイは、時計の精度を左右する非常に繊細な部品です。
わずかな乱れや偏りがあるだけでも、歩度の安定性に影響するため、形状を確認しながら慎重に修正を行います。
片振り調整についても、テンプの動きが左右均等に近づくように調整し、安定した動作を目指します。
ヴィンテージウォッチの調整では、ただ動けば良いというわけではありません。
部品の状態、テンプの振り、ヒゲゼンマイの形状、輪列の動きなどを確認しながら、その時計にとって無理のない状態へ整えていくことが大切です。
また、今回は1番車穴締めも行っています。

1番車まわりは、ゼンマイからの力を受ける重要な箇所です。
長年の使用によって穴に摩耗が出ると、軸の座りが不安定になり、動力の伝達や精度にも影響が出ることがあります。
そのため、摩耗した部分を調整し、軸が適切に収まるように整えています。
加えて、機械固定バネの組み込み、機械止めネジの交換も行いました。
ムーブメントをケース内でしっかりと固定することは、日常使用においてとても重要です。
内部で機械が不安定な状態のままでは、衝撃や使用時の動きによって、針位置や巻き上げ、精度に影響が出る可能性があります。
見えない部分ではありますが、こうした細かな固定部品まで確認し、必要に応じて交換・組み込みを行っています。
■外装パーツ
外装面では、風防とパッキンの交換を行いました。
風防は時計の印象を大きく左右する部分であり、視認性にも関わる箇所です。
新しい風防へ交換することで、文字盤がよりクリアに見えるようになり、日常的にも気持ちよくお使いいただける状態になります。
また、パッキンも交換しております。
ヴィンテージウォッチは現行品のような防水性能を期待することはできませんが、ケース内へのホコリや湿気の侵入を少しでも防ぐため、納品前の整備ではパッキンの状態も確認し、必要に応じて交換を行っています。
今回の作業内容は、以下の通りです。
・分解洗浄
・部品取り分解
・ヒゲ修正
・片振り調整
・1番穴締め(上)
・3番車交換
・中間車交換
・アンクル交換
・ゼンマイ交換
・機械固定バネ組み込み
・機械止めネジ交換
・風防交換
・パッキン交換
今回の45キングセイコーは、単純なオーバーホールだけではなく、複数の部品交換と細かな調整を必要とする内容でした。
ヴィンテージウォッチは、同じモデルであっても個体ごとに状態が異なります。
そのため、毎回同じ作業をすれば良いというものではなく、実際に分解して状態を確認し、その個体に必要な整備を見極めることが大切です。
RESUMEでは、お客様にご購入いただいた時計をできるだけ長く、安心してご愛用いただけるよう、納品前のメンテナンスにも力を入れております。
なお、納品前のオーバーホールおよび必要な整備は、当店にてご購入いただいた時計に対して、追加費用をいただかずに実施しております。
見た目の美しさだけではなく、内部の状態までしっかりと確認し、必要な作業を行ったうえでお渡しする。
それが、ヴィンテージウォッチを安心して楽しんでいただくために欠かせないことだと考えています。
今回の45キングセイコー スーペリアクロノメーターも、オーバーホール後に動作確認と調整を行い、安心してお使いいただける状態でお渡しさせていただきました。
すべては、お客様に安心してヴィンテージウォッチをお使いいただく為に。
当店にて時計をご購入いただく際に、気になることやご質問などございましたら、できる限り丁寧にご対応いたしますので、いつでもお問い合わせくださいませ。
それでは今後とも〖RESUME〗をよろしくお願い申し上げます。