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奈良でヴィンテージウォッチを扱う【RESUME】です。
当店で行っているオーバーホールの作業内容などを紹介する「~古き良き緻密な世界~」。
第11回となる今回は、先日お客様にご購入いただいた 「60年代 / OMEGA / Seamaster」 に実施したオーバーホール内容の一部をご紹介します。
■今回行ったオーバーホール内容
今回のシーマスターに行った作業は、以下の通りです。
- 分解掃除
- ヒゲ修正
- 片振り調整
- 角穴車交換
- 風防研磨
- 裏蓋パッキン交換
今回はこの中でも、4.角穴車交換 の修理内容にフォーカスしてご紹介します。
■角穴車とは?

ピンセットでつまんでいる大きな歯車が"角穴車"です。
角穴車(かくあなぐるま)は、機械式時計でゼンマイを巻き上げるための歯車です。
中心の四角い穴が香箱真(ゼンマイの軸)に噛み合い、リューズを回す力を香箱へ伝えてゼンマイを巻き上げます。
巻き上げ機構は、時計の使い心地を左右する重要な部分です。
日常的に触れる操作だからこそ、わずかなガタつきや摩耗があるだけでも、巻き上げ感のムラや違和感として現れることがあります。
■今回の個体で確認できた状態

歯車の先端がえぐれるような形で摩耗しています。
今回のシーマスターでは、巻き上げ機構を点検したところ、角穴車まわりに本来より大きな遊び(ガタ)が出ており、関連するパーツの先端部に偏った摩耗が見られました。
さらに詳しく確認すると、角穴車上部のプロペラ状のパーツ(巻き上げ機構の一部)を固定するネジまわりに、保持が安定していない痕跡が確認できました。
この状態だと巻き上げ時に力が一点へ偏りやすく、先端が“えぐれるように”摩耗してしまうことがあります。
今回の個体では、固定用ネジが適合していない(サイズや形状が異なる)可能性が高い状態で取り付けられていた痕跡がありました。
もちろん、過去の修理状況まですべてを断定することはできませんが、もし適合しないネジが使用されていた場合、微細なガタつきが積み重なり、結果としてここまで大きな摩耗・不調につながることがあります。
機械式時計は、ネジ1本・保持のわずかな違いが、長期的に見ると大きな差になります。
“その場は動いている”ように見えても、適合していない部品での固定は、後々別の部品を傷める引き金になりやすいポイントです。
■”角穴車”交換で行ったこと

コンディションの良い"角穴車"に交換します。
今回の修理目的は、巻き上げ機構を本来の安定した状態に戻し、毎日の巻き上げを気持ちよく行える状態に整えることです。
工房でストックとして確保している同型の角穴車へ交換し、周辺の保持状態・噛み合いを確認したうえで、巻き上げの感触が均一になるよう整えました。
作業としては「交換」というシンプルな内容に見えますが、ヴィンテージウォッチの修理では、
- 必要な部品を確保できるか
- 同型パーツを適切な状態で用意できるか
- 交換後に噛み合い・保持をきちんと確認できるか
といった点が、仕上がりを大きく左右します。
■仕上がりと、RESUMEのメンテナンスについて
角穴車を交換したことで、こちらのシーマスターも巻き上げが安定し、調子よく稼働できる状態へ整いました。
もちろん、今回の部品代・修理費用はすべて 時計本体のご購入料金に含まれております ので、追加費用は一切いただいておりません。
RESUMEでは、専属技師による確かな技術をもとに、徹底したメンテナンスサービスを行っています。
ヴィンテージウォッチは「直す技術」だけでなく、必要な部品を確保し、適切に整え、長く安心して使える状態へ仕上げることが重要です。
すべては、お客様に安心してヴィンテージウォッチをお使いいただく為に。
当店にて時計をご購入いただく際に、気になることやご質問などございましたら、できる限り丁寧にご対応いたしますので、いつでもお問い合わせくださいませ。
それでは今後とも【RESUME】をよろしくお願い申し上げます。