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奈良でヴィンテージウォッチを扱う【RESUME】です。
当店で行っているオーバーホールの作業内容などを紹介する「~古き良き緻密な世界~」。
第12回となる今回は「プラスチック風防とガラス風防の特徴」 についてお話ししたいと思います。
ヴィンテージウォッチを見ていると、似たようなケースサイズや文字盤でも、なぜか印象が違って見える個体があります。
その差を作っている要素のひとつが、文字盤の上に載る「風防」です。
風防は、ホコリや衝撃から文字盤を守るための部品であると同時に、光の入り方や反射の出方を変え、時計の“顔つき”を決める存在でもあります。
今回は、ヴィンテージでよく見られる プラスチック風防 と ガラス風防 について、それぞれの特徴と、実際の見え方の違いを写真と一緒に整理します。
※見え方は素材に加えて、風防の形状や厚みによっても変化します。本記事では「素材由来の傾向」としてご紹介します。
1、プラスチック風防の特徴
プラスチック風防(主にアクリル系)は、ヴィンテージらしい表情を支えてきた定番の素材です。
いちばんの魅力は、光が当たったときの印象がどこかやわらかく、文字盤が“しっとり”見えやすいことにあります。
反射は鋭い線というより、面でふわっと広がり、角度によって陰影が増えたり、トーンがゆるやかに変わったりします。
古い時計の温度感と相性が良い、と感じる方が多いのはこのためです。
また、プラスチックは加工がしやすく、ドーム形状など立体的な風防が作られやすい傾向があります。
斜めから見たときに外周へ向かってわずかに表情が揺らぎ、奥行きが出る個体も多く、そこにヴィンテージ特有の余韻が宿ります。
一方で、プラスチック風防は小傷が入りやすい素材でもあります。
日常で袖口や机に触れるだけでも細かな擦れが増えていくことがありますが、ここは“弱点”というより“付き合いやすさ”でもあります。
細かい傷であれば、市販のプラスチック用研磨剤で表面を整えることが可能であり、雰囲気を損なわずにクリアさを戻せることがあるからです。
もちろん深い傷や欠けがある場合は交換が必要になることもありますが、「育ちながら整えていける」という感覚は、プラスチック風防ならではの魅力だと思います。
2、ガラス風防の特徴
ガラス風防は、プラスチックに比べて硬度が高く、日常の擦れ傷が入りにくい傾向があります。
そのため、普段使いのなかで“傷を増やしたくない”というストレスが減り、道具として安心感のある素材です。
見え方としては、透明感が強く、文字盤の輪郭がすっと立ちやすいのが特徴です。
インデックスのエッジやプリントの線が明瞭に見え、全体の印象が端正にまとまりやすくなります。
写真でも、ガラス風防の個体は“像が崩れにくい”と感じることが多いはずです。
ただしガラスは、傷に強い反面、衝撃が入った際には欠けやヒビが出てしまい、磨きで戻すというより交換対応になるケースが多くなります。
また角度によっては反射がシャープに出やすく、ハイライトが強く乗る個体もあります。
これは好みの分かれるところですが、反射が“線”として現れやすい分、クリアで硬質な印象につながりやすい、と捉えると分かりやすいかもしれません。
3、実際の見え方の違い
ここからは写真を見ながら、素材によってどう表情が変わるのかを比べてみます。
今回は、ガラス風防を採用したセイコーと、プラスチック風防を採用したオメガを例に、正面・斜め・低い角度からの違いを整理します。
3-1 正面で見る:透明感と輪郭の立ち方

ガラス風防のセイコーは、文字盤の輪郭がすっと立ち、インデックスの直線やロゴの見え方が明瞭です。
光が当たっても像が崩れにくく、全体が端正にまとまって見えます。

プラスチック風防のオメガは、光がやわらかく回り、文字盤がしっとりとしたトーンで見える印象があります。
透明感は十分にありながら、硬質に“見せる”というより、雰囲気として“馴染ませる”方向に働くのが特徴です。
3-2 斜めで見る:外周の表情と奥行き

ガラス風防のセイコーは、斜めから見ても線が通りやすく、外周に向かっても輪郭が破綻しにくい傾向があります。
視線がすっと文字盤に入っていく感じがあり、情報が整理されて見えます。

プラスチック風防のオメガは、外周へ向かうにつれて陰影がふっと増えたり、わずかな揺らぎが表情として現れたりします。
その柔らかな変化が、時計の顔に奥行きを与え、角度によって雰囲気が変わる“余韻”につながっていきます。
3-3 低い角度で見る:ハイライトの出方と立ち上がり

低い角度では、反射の質がより分かりやすくなります。
ガラス風防のセイコーはハイライトがシャープに出やすく、光の筋がきりっと締まって見える傾向があります。
その分、透明感が強く感じられ、文字盤が近く見える印象になります。

プラスチック風防のオメガは光がなだらかに流れ、反射が“面”として広がりやすいのが特徴です。
光が滑るように移ろうことで、文字盤が静かに表情を変え、ヴィンテージらしい質感がいっそう引き立ちます。
同じ「透明な風防」でも、ガラスは輪郭を整え、プラスチックは雰囲気を深める方向に働くことが多く、時計の印象そのものを変えていきます。
4、まとめ
プラスチック風防とガラス風防の違いは、単に「傷が入りやすい/入りにくい」という話だけではありません。
光の回り方や反射の出方が変わることで、文字盤の見え方、そして時計の“顔つき”そのものが変わっていきます。
雰囲気のやわらかさや陰影の深さを楽しみたい方には、プラスチック風防がよく似合いますし、輪郭のクリアさや端正な見え方を優先したい方には、ガラス風防がしっくりきます。
どちらが上という話ではなく、時計に求める表情がどちらか、という選び方がいちばん自然です。
またヴィンテージは交換歴がある個体も多く、同じモデルでも風防の素材や形状が異なる場合があります。
気になる点があれば、店頭でもオンラインでも、現物の状態を含めてお気軽にご相談ください。
RESUMEでは、見た目の美しさだけでなく、日常で気持ちよく使える状態まで整えたうえでご案内しています。
すべては、お客様に安心してヴィンテージウォッチをお使いいただく為に。
当店にて時計をご購入いただく際に、気になることやご質問などございましたら、できる限り丁寧にご対応いたしますので、いつでもお問い合わせくださいませ。
それでは今後とも【RESUME】をよろしくお願い申し上げます。