About RESUME ~古き良き緻密な世界~ #7

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 いつも当サイトをご覧いただき、ありがとうございます。

奈良でヴィンテージウォッチを扱う【RESUME】です。

 

当店で行う作業内容や、時計にまつわるお話などを紹介する ~古き良き緻密な世界~

第7回目となる今回は、50年代オールドセイコーのオーバーホールであった出来事についてお話させていただきます。

まずはじめに、1950年代の時計と聞くとお客様から「この時計は動くの?」といったご質問をいただくことがございます。

確かに今から70年前の時計と聞くと不安に思われるのはよくわかります。

しかし、私はこの質問に対して自信をもって「ご安心ください。ご使用に問題ございません」とお答えしています。

ヴィンテージウォッチは定期的なオーバーホールと、適切なメンテナンスを行うことで現行時計と遜色のない精度で長いあいだ、お使いいただけるポテンシャルを秘めているのです。

しかし、ヴィンテージウォッチの多くは高い完成度を誇る代わりに現行時計よりも複雑な構造を持つ時計が多いのも事実。

その為、必要な知識・技術・経験を持たない技師がオーバーホールを行うことで、表面上、動いているだけで時計が持つ本来のポテンシャルを発揮できていない杜撰な修理が行われるケースも多く見られます。

今回はそのような修理についてでございます。

 

先日、お客様から当店にお持ち込みいただいた、オールドセイコーのオーバーホールをした際に「ヒゲ玉」と呼ばれるパーツが破損しているのを発見しました。

ヒゲ玉とは、時計の心臓部「テンプ」に、時計の精度を出すうえで重要な「ヒゲゼンマイ」を固定するための重要なパーツです。

時計の動きを調整するのにヒゲ玉に刻まれた溝に工具を差し込み、右、左と回転させて時計の動きを安定させています。

作業は非常に繊細であり、専用の工具もないため、時計職人による自作の工具が必要です。

工具が作れず、適当にある道具で作業を進めると、ヒゲ玉はすぐに破損もしくは、不具合が発生してしまうケースが多いです。

 

【〇で囲った箇所がクラック】

 

写真をご覧になると、該当箇所に不適切な工具で無理に調整したことが原因でヒゲ玉が割れているのが分かります。

こうなると、パーツ修理は不可能なので、当店であればパーツを取り寄せて、新しく交換します。

しかし、前回この時計をオーバーホールした技師は、接着剤でクラックを固定し、無理やりパーツを修理していました。

これでは、稼働こそすれど、時計が持つ本来のポテンシャルを発揮するのは不可能です。

 

【左:新品 右:破損パーツ】

※こうした貴重なパーツを揃えることができるかも時計技師の重要な要素の1つです。

 

今回は、無理やり修理されたヒゲ玉は修復不可能なので、同年代の貴重なテンプ一式を新たに用意。

テンプの載せ替え修理を行い、時計が持つ本来の高精度を復活させることができました。

 

ヴィンテージ時計はメンテナンスを欠かさず行うことで長い年月を愛用時計として、共に過ごせるのです。

しかし、一方でヴィンテージ時計は複雑な構造をしているため、知識や経験、技術がないと扱いきれずに破損してしまい、今回のように無理やり修理して動かすケースも多く見られます。

 

一見、調子よく動いている時計でも中身がどうなっているのかは見ただけではわかりません。

なので、当店は日差1分以内の高い精度を実現する事、当店では【単純に時計が稼働している】ではなく【正確に時を刻む】を大切に作業を行うよう心がけています。

 

すべてはお客様に安心してヴィンテージウォッチをお使いいただく為に...

 当店にて時計をご購入する際に、気になる点やご質問などございましたら、出来る限りのご対応、回答させて頂きますので、いつでもお問合せくださいませ。

それでは、今後とも【RESUME】をよろしくお願い申し上げます。 

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